守山崩れ

吉根村　元高三百七拾九石七斗六升壱合
　一　概高四百三拾八石三斗八升弐合　山田庄　吉根村
　　　田畑三拾壱町六反五畝弐拾六歩
　　　内　田方拾八町壱反五畝弐拾弐歩
　　　　　畑方拾三町五反四歩　　　　　雨池懸リ
　元高　弐石四斗七升弐合
　一　概高　壱石八斗壱升八合　同所　新田
　一　畑方壱反五畝拾九歩　同所見取新田、山方ヘ納ル。
　一　松山百九拾弐町　下苅年貢米、山方へ納。
　　　内　河原山　くらほね山　太鼓かね山
　一　松山三拾六町　平子御林
　一　家数　三拾九軒
　一　人数　弐百八拾人
　　　　内　男　百五拾人
　　　　　　女　百三拾人
　　　馬　拾五疋
　御領高之外
　一　元高　三拾弐石七斗壱升六合　龍泉寺観音領　同村之内　たらゝか池
　　　田畑四町三反八畝歩
　　　　内　田方　壱町六反五畝八歩
　　　　　　畑方　弐町五反弐畝弐拾弐歩
　　　右、源敬様御黒印・当御黒印、其外、伊奈備前守・彦坂九兵衛・中野七蔵証文
　　　　　有之。
　一　龍泉寺観音堂　地内　松山之内也。
　　　松山拾弐町　観音山
　　　観音別当　天台宗　野田密蔵院末寺　松洞山龍泉寺
　　　右祭礼、毎年五月拾八日ニ方々より馬渡ス。
　一　家　数　六軒
　一　人　数　三拾四人
　　　　内　男拾六人　女　拾八人　観音領分
　一　禅宗　大永寺村大永寺末寺　興福山観音寺
　　　寺内壱反壱畝弐拾壱歩　備前検除
　一　社三ヶ所　内　八幡　神明　山之神
　　　社内五反弐畝拾弐歩　前々除
　一　雨池六ヶ所　公儀より修覆。
　　　　内　柳洞池　木持沢池　武兵池　濁池
　　　　　　釜池上下　北洞池
　一　土橋弐ヶ所　百姓自分ニ懸ル。
　一　玉野川筋、当村堤弐百七拾間、定光寺道九百間、道作リ人足出ス。
　一　御上洛・朝鮮人来朝・御茶壷御通之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　　　但、寺領分、夫銀ハ不出。
　一　年貢米　馬付。
　一　吉根村より道法　なごやへ三里　小牧へ三里　上水野へ弐里
　　　外に
　　　松林四町　給人自分株

小幡村　元高　千弐百六拾五石三斗五升
　一　概高　千三百三拾九石四斗五升　山田庄　小幡村
　　　　田畑百三町三反六畝弐拾五歩
　　　　　内　田方八拾六町八歩
　　　　　　　畑方拾七町三反六畝拾七歩　矢田川　雨池　掛リ
　元高八石四斗弐升
　一　概高　八石壱斗弐升五合　同所　新田
　　　　概後　一　高七石九斗弐升　慶安三寅　同所　新田
　　　　　　　　　田畑壱町七畝拾弐歩　同　井懸リ
　　　　　　　　　　内　田方六反拾弐歩
　　　　　　　　　　　　畑方四反七畝歩
　　　同　　　一　高拾弐石八斗壱合　明暦弐申　同所　新田
　　　　　　　　　田畑壱町七反五畝弐拾七歩
　　　　　　　　　　内　田方九反弐畝拾弐歩
　　　　　　　　　　　　畑方八反三畝拾五歩　同　井懸リ
　　　　　　　一　田畑四町弐反九畝壱歩
　　　　　　　　　　内田方壱町壱反弐畝拾六歩
　　　　　　　　　　畑方三町六反拾五歩　　　　同所　見取新田
　一　永符三町　芝野
　一　松山拾三町六反九畝七歩　下苅年貢、山方へ納ル。
　　　　　内　牛牧村・川村・小幡村入合。
　一　松竹植込御留山　拾町
　一　家　数　七拾三軒
　一　人　数　五百七拾壱人
　　　　内　男弐百八拾九人　女弐百八拾弐人
　　　馬　弐拾七疋
　一　浄土宗　なごや西蓮寺末寺　西法山浄土院
　　　　　寺内壱町歩　備前検除
　一　禅　宗　京東福寺末寺　栄松山長慶寺
　　　　寺内四反弐畝歩　備前検除
　一　新宮薬師堂一宇　地内五畝歩　前々除　長慶寺持分
　一　社拾弐ヶ所　社内三町四反三畝弐拾壱歩
　　　　内　壱町弐反五畝弐歩　　備前検除
　　　　　　弐町壱反八畝拾九歩　前々除
　　　　　　　内　白山　社内壱反壱畝歩　前々除
　　　　　　　　　　　　内山永久寺袈裟下　当村山伏　大徳院持分
　　　　　　　　　諏訪明神　社内壱町弐反三畝拾五歩　前々除
　　　　　　　　　　　　　　吉根村　龍泉寺持分
　　　　　　　　　愛宕　社内壱町弐反五畝弐歩　備前検除
　　　　　　　　　　　　江州飯道寺梅本袈裟下　当村山伏　文殊院持分
　　　　　　　　　富士浅間　社内壱反弐畝歩　前々除　当村　六兵衛支配
　　　　　　　　　神明・山神七ヶ所　社内七反弐畝四歩　前々除　支配人なし。
　一　雨池四ヶ所
　　　　内　岩穴池　平池　上池　下池　公儀より修覆。
　一　井瀬木五ヶ所　御蔵入・給人立合。
　　　　内　長田井　中井　向井　太田井　千代田井
　一　桶杁六腹・指杁弐腹　御蔵入・給所立合、伏起、百姓自分
　一　橋壱ヶ所杭木公儀より、懸人足百姓自分。
　一　古城跡壱ヶ所　東西百拾間・南北六拾間
　　　　此城、大永年中ニ岡田与七郎取立、其後、織田源次郎三代居城之由、今ハ畑ニ成。
　一　岡田助右衛門、其子長門守、当村生所之由。干今岡田と云田所之名有、
　　　岡田豊前守も此先祖之由也。
　一　矢田川筋、当村堤千四百七間、水野海道千八百間、道作リ人足出ス。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　小幡村より道法　なごやへ弐里　大森へ弐拾町
　　　　外
　一　松山弐百三拾八町弐反六畝弐拾三歩
　　　是ハ御家中、並寺方下屋敷松林ニ渡ル。

大森村　元高　千五拾八石四斗五升弐合
　一　概高千四百四拾三石三斗弐升七合　山田庄　大森村
　　　　田畑八拾弐町九反弐拾三歩
　　　　　内　田方六拾九町八畝拾三歩
　　　　　　　方拾三町八反弐畝拾歩　矢田川　雨池　掛リ
　一　永符拾五町七反余　河原、並荒地
　一　松山弐拾七町　下苅年貢、山方へ納ル。
　　　　内　長根山　二子山　から沢山
　一　白山御林山弐拾三町　印場・稲葉・大森三ヶ村立合。
　　　　内　寺山　向山　原山
　一　平子御林山五百五拾五町　吉根・印場・大森・新居・志段味・三郷七ヶ村立合。
　　　　内　大こがね山　菅迫間山　大かけうなぎ洞山
　　　　　　井ノ洞山　あき通山　中原山
　　　　　　かやか入山　吉田山　長迫間山　茶磨山
　一　御林山七拾九町　稲葉・印場・猪子石・大森四ヶ村立合。
　　　　内　高とい山　向山　原山　赤原山
　一　家　数　百弐拾七軒
　一　人　数　八百八拾人
　　　　内　男四百九拾三人　女三百八拾七人
　　　馬　七拾九疋
　御領地之内、新田起方
　一　元高　弐百石　浄土宗　京知恩院末寺 (興旧山)古休山大森寺領
　　　　寺内弐町五反歩
　　　　　外ニ松山八町当(光友)御黒印有之。
　　　　　右寺領之内
　　　高八拾壱石六斗八升三合　大森村新田四ヶ所ニ而渡ル。
　　　　田畑拾三町九反六畝壱歩
　　　　　内　田方五町七反弐畝弐拾歩
　　　　　　　畑方八町弐反三畝拾壱歩
　　　高百拾八石三斗壱升七合　新居村新田三ヶ所ニ而渡ル。
　　　　田畑拾五町弐反四畝拾壱歩
　　　　　内　田方拾壱町五反六歩
　　　　　　　畑方三町七反四畝五歩
　一　禅　宗　赤津村雲興寺末寺　普季山正法寺
　　　　寺内壱反六畝拾壱歩　備前検除
　一　薬師堂二宇　地内年貢地　堂守　当村　了悦念西
　一　社六ヶ所　内　大明神　八幡　山神四ヶ所　当村祢宜　四郎太夫持分
　　　社内壱反六畝弐拾歩　前々除
　　　外ニ　右大明神へ　田壱反歩備前検除
　　　祢宜屋敷五畝歩
　一　雨池五ヶ所　公儀より修覆。
　　　　内　長迫間池　井戸金池　大泊池上下　長迫間留池
　一　井瀬木八ヶ所　松木ハ公儀より、人足ハ百姓自分ニ出ル。
　一　桶杁六腹・指樋三腹　公儀杁、伏起、百姓自分人足。
　一　土橋拾壱ヶ所　松木ハ公儀より、懸人足、百姓出ス。
　一　米五斗程井領米出ス。
　一　矢田川筋、当村堤九百六拾七間、水野海道九百六拾間道作リ人足出ス。
　　　吉利支丹制札有。
　一　古城跡弐ヶ所　先年の城主不知、今ハ畑ニ成ル。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　大森村より道法　なごやへ弐里半　水野へ三里

牛牧村　元高弐百四拾五石六斗弐升弐合
　一　概高　三百五石九斗八升弐合　山田庄　牛牧村
　　　　田畑拾九町四反四畝歩
　　　　　内　田方拾三町八反弐畝七歩
　　　　　　　畑方五町六反壱畝弐拾三歩　川村定井　志水　掛リ
　一　畑六畝弐拾七歩　同所見取新田　年貢米、山方へ納ル。
　一　永符五反壱畝弐拾五歩
　一　小幡村・川村・牛牧村入合山　下苅年貢、山方へ納ル。
　一　家　数　拾五軒
　一　人　数　百五拾六人
　　　　内　男七拾壱人　女八拾五人
　　　馬　五疋
　一　社三ヶ所　内　白山　神明　山之神　大森海道村　桂星寺持分
　　　　社内四反五畝弐拾歩　前々除
　　　　外ニ中田壱反歩　白山領　備前検除
　一　桶杁五腹　給人杁、伏起ハ百姓自分人足。
　一　川村定井破損之時、手伝人足出ス。
　一　米三斗程　井領米出ス。
　一　当村堤七百三拾間、吉根山より悪水落筋、給人自分築。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　牛牧村より道法　なごやへ弐里　小牧へ三里　大森へ弐拾五町

大森海道(垣外)村　元高弐百六拾六石三斗六升弐合
　一　概高　四百六石四斗弐合　山田庄　大森海道村
　　　　田畑弐拾弐町七畝歩
　　　　　内　田方拾町六反壱畝弐拾七歩
　　　　　畑方拾壱町四反五畝三歩　川村定井　志水　掛リ
　一　永符九畝弐拾八歩　草野
　一　家　数　弐拾七軒
　一　人　数　弐百三人
　　　　内　男九拾壱人　女百拾弐人
　　　馬　九疋
　一　禅　宗　田楽村新徳寺末寺　明鏡山円福寺
　　　　寺内五畝拾歩　備前検除
一天台宗野田村密蔵院末寺明光山桂星寺
　　寺内弐反歩
　　　内　壱反七畝歩　前々除
　　　　　三畝歩　　　年貢地　
　一　社四ヶ所　内　神明　熊野　白山　八龍　天神　山神
　　　　社内弐反弐畝　前々除　円福寺・桂星寺持分。
　一　桶杁六腹　給人杁、伏起、百姓自分人足。
　一　川村定井破損之時、手伝人足出ス。
　一　米壱石四斗程井領米ニ出ス。
　一　当村堤弐百六拾間、吉根山より悪水落筋、給人自分築。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　大森海道村より道法　なごやへ弐里　小牧へ三里　大森へ壱里

川村　元高四百弐拾壱石九斗弐升弐合
　一　概高　六百五拾八石七斗　山田庄　川　村
　　　　田畑三拾九町九反三畝拾歩
　　　　　内　田方拾七町五反九歩
　　　　　　　畑方弐拾弐町四反三畝壱歩　定井　雨水掛リ旱損所　志水
　元高　三石弐斗六升
　一　概高　三石六斗四合　同所　新　田
　一　永符五町八反弐畝拾歩
　一　小幡村・牛牧村・川村入合山　下苅年貢、山方へ納ル。
　一　家　数　三拾弐軒
　一　人　数　四百壱人
　　　　内　男百九拾七人　女弐百四人
　　　馬　拾弐疋
　一　薬師森壱ヶ所　地内弐拾四歩　前々除
　一　社三ヶ所　内　熊野権現　八劔　山神
　　　　社内壱反壱畝拾六歩　前々除
　一　雨池三ヶ所　内　高根池上下　永根池　給人自分池
　一　定井壱ケ所　玉野川筋破損之時、手伝人足出ス。
　一　指杁弐腹　公儀杁、伏起共、杁守給、公儀より出ル。
　一　桶杁弐腹　給人杁、伏起ハ牛牧村・大森海道村・大永寺村・金屋坊村・
　　　　　　　　守山村立合、百姓自分人足。
　一　玉野川筋　運上川
　一　古城跡壱ヶ所　先年津田武永居城之由、今ハ松林ニ成。
　一　当村堤三百七拾壱間、玉野川筋、枯草代銀出ス。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢(米)馬付。
　一　川村より道法なごやへ弐里小牧へ三里上水野へ三里
　　　外
　一　松林三町　永符之内給人自分林

大永寺村　元高三百八拾五石三斗六合
　一　概高　五百七拾弐石八斗壱升五合　山田庄　大永寺村
　　　　田畑三拾弐町六畝六歩
　　　　　内　田方拾七町七反三畝弐拾九歩
　　　　　　　畑方拾四町三反弐畝六歩　川村定井掛リ　水損所
　一　永符三町四反歩　芝野
　一　家　数　弐拾弐軒
　一　人　数　百五拾弐人
　　　　内　男七拾八人　女七拾四人
　　　馬　九疋
　一　禅　宗　丹波国本目村調光寺末寺　寿昌山大永寺　但、岡田豊前守先祖之菩提所
　　　寺内寺領高之内
　　　外ニ元屋敷壱反四畝歩　備前検除
　御領高之内
　一　元高　六石七斗八升弐合　同所大永寺領
　　　　田畑五反七畝拾七歩
　　　　　内　田方三反壱畝七歩　同　井懸リ
　　　　　畑方弐反六畝拾歩
　　　　右　源敬様御黒印。
　一　薬師堂一宇　地内六歩　永符之内　当村堂守　円斎
　一　社弐ヶ所　内　熊野権現　本宮　右同人持分
　　　　社内弐畝拾九歩　前々除
　一　桶杁五腹御蔵入・給所立合、伏起、百姓自分。
　一　川村定井破損杁、伏起之時、手伝人足出ス。
　一　米壱斗四升程　井領米出ス。
　一　勝川筋、当村堤拾八間、枯草代銀出ス。川村枝井筋、百拾間、当村地之内ニ有之。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。御茶壷御通之時ハ熱田へ人足出ス。
　　　大通リ之時、なごやへ人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　大永寺村より道法　なごやへ壱里半　小牧へ壱里半

金屋坊村　元高百八拾五石七斗壱升三合
　一　概高　弐百拾七石弐斗三升五合　山田庄　金屋坊村
　　　　田畑拾四町六歩
　　　　　内　田方八町四畝拾歩　川村定井懸リ
　　　　　　　畑方五町九反五畝弐拾六歩　旱損　水損所
　一　永符九反歩　芝野
　一　家　数　拾五軒
　一　人　数　百拾四人
　　　　内　男五拾七人　女五拾七人
　　　馬　四疋
　一　禅　宗　寺内年貢地　同郡守山長母寺末寺　寿松院
　一　社三ヶ所　内　神明　文殊　山神
　　　　社内壱反壱畝拾弐歩　永符之内
　一　川村定井破損、杁伏起之時、手伝人足出ス。
　一　米三斗五升程　井領米出ス。
　一　川村枝井筋百間、当村地之内ニ有之。
　一　大通リ有之時ハなごやへ人馬出ス。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　金屋坊村より道法　なごやへ壱里三拾町　小牧へ壱里半

幸心村　元高　三百拾五石三斗九升四合
　一　概高　四百九拾九石七斗八升四合　山田庄　幸心村
　　　　田畑弐拾五町四反八畝弐拾三歩
　　　　　内　田方拾五町七反五畝五歩　川村定井懸リ
　　　　　　　畑方九町七反三畝拾八歩
　一　田畑弐反四畝七歩　同所見取新田
　　　内　田方壱反壱畝弐拾四歩　年貢米、山方へ納ル。
　　　　　畑方壱反弐畝拾三歩
　一　家　数　三拾壱軒
　一　人　数　弐百拾七人
　　　　内　男百拾壱人　女百六人
　　　馬　七疋
　一　禅　宗　同郡大永寺村大永寺末寺　松栄山常雲寺　寺内年貢地
　一　申堂(マゝ)一宇　地内年貢地　右ノ常雲寺持分
　一　社五ヶ所　内　天王　神明　白山　山神　弁才天
　　　　　　　　　　社内三反四畝歩　前々除　同寺持分
　一　桶杁三腹　給人杁、伏起、百姓自分人足。
　一　川村定井破損杁、伏起之時、手伝人足出ス。
　一　土橋弐ヶ所　公儀橋、懸人足、百姓自分。
　一　野方三町三反壱畝弐拾歩　稲干場　守山村当村入合野。
　一　勝川筋、当村堤三百拾弐間片輪、并古堤三百三拾弐間
　　　枯草・柳代銀出ス。内津海道三百弐拾間、道作リ人足出ス。
　一　御鷹場留札、并御留川札有之。
　一　御留藪壱ヶ所当村天王社内但、柴竹。
　一　大通之時、なごやへ人馬出ス。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　幸心村より道法　名古屋へ壱里半　小牧へ弐里半　内津へ四里　勝川へ拾八町

守山村　元高　千七拾六石八斗八升三合
　一　概高　千四百拾三石六斗三升七合　山田庄　守山村
　　　　田畑八拾九町八反拾歩
　　　　　内　田方五拾弐町壱歩
　　　　　　　畑方三拾七町八反九歩　川村定井　矢田川　懸リ　旱損・水損所
　概後
　一　高五石五斗壱升壱合　寛文弐寅　同所新田
　　　　田畑九反五畝三渉
　　　　　内　田方弐反六畝歩　同井懸リ
　　　　　　　畑方六反九畝三歩
　一　田畑五町七反六畝七歩　同所見取新田
　　　　内　田方三反八畝弐拾弐歩　貢米、山方へ納。
　　　　　　畑方五町三反七畝拾五歩
　一　永符拾壱町壱反三畝拾弐歩　草野　砂河原ニ成ル。
　一　野方拾四町三反五畝三歩　定納米、山方へ納。
　一　家　数　百壱軒
　一　人　数　五百六拾五人
　　　　内　男三百拾壱人　女弐百五拾四人
　　　馬　三拾壱疋
　一　禅　宗　京都東福寺末寺　霊鷲山長母寺　寺内壱反九畝拾歩　備前検除
　　　　外ニ松林三反歩　前々除
　　　　右　正二位源朝臣　大膳太夫頼康　左兵衛督　判形有之。
　　　　　　寺内松林之内ニ　夢(無)住国師御影、在之。
　一　禅　宗　同郡大永寺末寺　宝勝寺
　　　　寺内弐反壱畝歩
　　　　外ニ松林壱反六畝歩　前々除
　一　同　宗　寺内年貢地　同　末寺　龍雲寺
　一　浄土宗　なごや西蓮寺末寺　誓願寺
　　　　寺内壱反七畝歩　前々除
　一　禅　宗　当村長母寺末寺　見寿寺　寺内三畝歩　前々除
　一　天台宗　同郡龍泉寺末寺　白山寺　寺内壱反三畝歩前々除
　一　社七ヶ所　社内八反八畝三歩　前々除
　　　　内　仙現弐ヶ所　当村　誓願寺持分
　　　　　　八幡宮　同　龍雲寺持分
　　　　　　山神弐ヶ所　同　見寿寺持分
　　　　　　白山　同　長母寺持分
　　　　　　洲原大明神　同　山伏　恵春　持分
　一　指杁弐腹・桶杁壱腹　御蔵入・給所立合、伏起　百姓自分。
　一　板橋三ヶ所・土橋壱ヶ所　百姓自分ニ懸ル。
　一　古城跡壱ヶ所　東西三拾弐間　南北弐拾八間　先年織田孫十郎居城、
　　　今ハ松林ニ成。
　一　矢田川筋、当村堤四百九拾間　但、片輪、枯草代銀出ス。
　一　米三石弐斗程　井領米、井組へ出ス。
　一　定光寺水野海道四百弐拾間道作リ人足出ス。
　一　大通之時、なごやへ人馬出ス。吉利支丹御制札・御鷹場札、有之。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　守山村より道法　なごやへ壱里半　小牧へ三里　鳴海へ四里

瀬古村　元高　六百六拾五石壱合
　一　概高　九百弐拾壱石四斗七合　　　山田庄　瀬古村
　　　　田畑六拾壱町七反七畝拾六歩　　　　　　枝郷北瀬古
　　　　　内　田方三拾四町五反九畝拾壱歩　川村定井掛リ
　　　　　　　畑方弐拾七町壱反八畝五歩
　一　畑方壱反三畝歩　同所見取新田　年貢米、山方へ納。
　一　家　数　四拾五軒
　一　人　数　三百六拾九人
　　　　内　男百九拾七人　女百七拾弐人
　　　馬　拾九疋
　一　天台宗　同郡野田村密蔵院末寺　西天山石山寺　寺内四反八畝弐拾歩　備前検除
　　　　　　　此寺内ニ観音堂一宇、在之。
　一　社五ヶ所
　　　　内　天神　山神
　　　　　　白山　神明両社　当村祢宜　吉太夫持分
　　　社内弐反八畝拾七歩　前々除
　一　桶杁大小四腹　給人杁、伏起、百姓自分人足。
　一　橋五ヶ所
　　　　内　弐ヶ所　板橋
　　　　　　　公儀橋、懸人足、山田村・松河戸村・瀬古村立合、百姓自分。
　　　　　　三ヶ所土橋　百姓自分懸ル。
　一　川村定井破損之時、手伝人足出ス。
　一　古川筋　御留川
　一　勝川筋・矢田川筋・中川筋、庄内堤共ニ弐千五百七拾四間、当村分。
　一　幾利支丹御制札并御留川札、有之。
　一　御上洛・朝鮮人来朝之時、人馬出ス。
　一　御茶壷御通之時、熱田へ人足出ス。
　一　夫銀・堤銀・御鷹餌犬代米、御定之通、出ス。
　一　年貢米　馬付。
　一　瀬古村より道法　なごやへ壱里半　小牧へ壱里半　勝川へ拾五町

●用語集元高(もとだか）備前検地による公式石高井組(ゆぐみ)・雨池懸用水・ため池の管理を目的とした組合杁・樋杁灌漑用水の水門、規模の小さい物は樋杁定井・井堰(井瀬木) 川に堰など造り灌漑用水を取入れる所、小規模な所を堰井領米灌漑施設の開削や修理などの時に農民に支給された米永符・永不(えいふ・年不) 災害などにより耕作不能となった非課税地帯御鷹餌犬伏米鷹狩用の鷹の餌と使用する犬(鷹犬)の費用海道街道給人・給所給地(知行地)を支給された武士、その在所蔵入地幕府や大名が直接管理していた領域袈裟下寺院配下の山伏など鹿垣土居猪・鹿の侵入を防ぐために作られた土塁鮎運上藩主に上納される鮎・鮎鮨年貢米馬付年貢米を馬により指定の所まで運搬する御茶壺御通将軍飲用の茶葉を宇治より江戸へ運ぶ大名行列並みの行列朝鮮人来朝将軍が代替りしたとき朝鮮国から派遣された使節団		検見(けみ) 年毎に収穫高を調べその結果によりその年の年貢を決めた。豊凶災害により年毎に増減があった定納その年の作柄など豊凶作にかかわらず一定の年貢が課せられた定納山年貢を課せられた野山。草肥・飼料・薪炭材などに利用された見取場(所) 荒れ地または開墾された新田で作柄に応じ年毎に年貢を定められた田畑除地(じょち・よけち) 年貢、課役など免除された寺社の境内や田畑、屋敷地など入合山(入会地) 共同利用が認められた土地。落葉や山資源を採取した入会山とカヤなどを採取した川原や野原の草刈場がある水損地・旱地旱魃・水害など収穫の出来なくなる恐れのある田畑夫役石高に応じた労働の徴収夫銀・堤銀石高に応じた賦役を米、金銭で応じるもの柳(枯)草代・下草年貢堤の柳や枯れ草の採取を許可しそれに対する運上金山方・野方村方、町方、浜方に属さない山林・原野御林(御留山・林) 御林奉行の管理下にあり伐採などが保護された山林で藩にも同様の山林があった
備前検地徳川氏の代官頭、伊奈備前守忠次(ただつぐ)(1550～1610年)が実施した検地、元高であらわされる。三河国幡豆郡小島(現愛知県西尾市)の出身。家康に仕え三河・遠江・駿河の治水、土木、開墾、検地等を行い、1608年(慶長13)に尾張を検地した。その後家康の関東移封に伴い関東郡代となり幕府直轄地関八州の治水、検地、街道整備など実施。地方行財政に力を発揮した。『郡村徇行記(ぐんそんじゅんこうき)』同書を著した樋口好古(よしふる)(1750～1826年)は25歳の時、勘定方並手代として召し抱えられ後、地方吟味役頭取など経て書物奉行に就任。尾張藩の農政担当者として人望もあり1792年(寛政4)春～1822(文政5)春まで、30(31)年にわたって尾張一円から美濃国・近江国を巡検して著した地誌。全38(39)巻と言われる同書は『寛文村々覚書』同様江戸時代後期の各村々を知るための基本資料とされている。概高(ならしだか)・今高・四ツ(免)ならし　※免(めん)石高に対する徴税率今高とも言い、1645年(正保2)に尾張藩が実施した「四つならし」による石高。元高に対し過去10ヶ年平均年貢納高が元高の四ツ免(税率40％)に対応するように修正した石高。諸色等実勢に合わせるため概高は元高より多くなった。この四ツ免も時代が下り天明以後では三ツ免位となり、藩の収入は相対的に減少し武士は諸色(物価)高の中で米価安に見舞われ困窮した。 ●以下『名古屋叢書続編寛文村々覚書』より