●すいどうみち緑道(犬山系導水路)

名古屋市の水道事業として1910年(明治43)5月、木曽川からの取水「犬山系導水路」総延長約23kmの工事が始まり、1914年(大正3)3月、鍋屋上野浄水場(名古屋市千種区宮の腰町)が完成、9月には名古屋へ導水が開始された。
この計画は1893年(明治26)、当時の市長志水忠平氏がイギリス人バルトン氏に調査を委嘱し、同氏は翌1894年(明治27)に入鹿池を水源とする案を提出したが、1902年(明治35)市長青山朗氏の委嘱により上田敏郎技師が改めて木曽川犬山城下で取水することを提言。1909年(明治42)、市長加藤重三朗氏は工費570余万円をもって翌1910年(明治43)5月より工事に着手し1914年(大正3)3月完成、同年9月、市内一円に給水が開始された。
当初は犬山城直下の取水口(1909年<明治42>起工、1914年<大正3>に完成)にて取水していましたが現在は閉鎖され、取水口は上流に移動し、犬山橋上流600mに「第二取水口(1933年/昭和8)」を造り取水を開始。更に増える水需要のため上流1,80mに「第一取水口(1958年/昭和33)」を造り需要増に対応した。開削当時は開放型水路だったが1933年(昭和8)には蓋がされ1969年(昭和44)には地下導水管に改められ、現在毎日約40万トンの水が供給されている。
木曽川の水を犬山市で取り入れ取水地と鍋屋上野浄水場の高低差25mを利用して水は埋設導水管により、犬山、大口、扶桑、小牧、春日井の愛知県下三市二町を通り愛知県春日井市鷹来町の春日井浄水場を経由し庄内川を地下で潜り、区内を南北に地下にて通過。矢田川を再度地下にて潜り、東区・千種区をへて鍋屋上野浄水場へ通じる水の道が完成。
平野部の春日井市内までの工事は順調に進展したが、区内の現「すいどうみち緑道」付近は微高地のため水路を開削するのも容易ならず地面を掘り下げ導水管を埋設する方法が採られた。
導水管埋設後一帯は掘割状態でゴミが捨てられ、戦時中には掘割の崖に防空壕が穿たれるなど荒れ地状態だったが、名古屋市では1975年代(昭和50)より名古屋市緑道整備基本計画を施行し、区内約2.5kmを幅約8mが公園化され「
すいどうみち緑道」として1981年(昭和56)一応の完成を見た。同様に東区の部分は「大幸緑道」、鍋屋上野浄水場から旧配水塔の東山給水塔へ至る千種区部分を「天満緑道」と呼び、また東山給水塔から今池交差点付近に至る千種区部分は「水道みち緑道」と漢字表記されたすいどう道となり歩道化。犬山・小牧・春日井市一帯では「尾張広域緑道」として整備された。
すいどうみち緑道の地下には、A:1.1m、B・C:2.0mの三本の導水管が埋設されており、このうち最も古いA管は完成から80年以上が経過し耐震性など強化のため2010年(平成22)より順次新しい導水管への取り換え工事が始まり、すいどうみち緑道では2022年(令和4)12月~2024年(令和6)11月にかけ埋設管の埋め替えが行われ、1.1mの旧鋼管内の内側に1mの新鋼管の内管が挿入され耐震化が図られ、老木化した桜の伐採も進められている。
当所区内の水道水は春日井浄水場を使用していたが、現在はおおむね同浄水場より東部丘陵地へ通じる導水管から取水する
志段味配水場よりの水を使用している。
※名古屋市及び一帯の上水道は木曽川上流犬山で取水し鍋屋上野浄水場(名古屋市千種区)で浄化され名古屋市東部に給水されるルートと、木曽川下流左岸にある朝日取水場(愛知県一宮市上祖父江)で取水し大治浄水場(愛知県海部郡大治町)をへて名古屋市西部一帯および周辺地域を供給するルート、木曽川上流犬山で取水し東部ルート上にある春日井浄水場(愛知県春日井市)を使用し犬山・小牧・春日井などを含む一帯を供給するルートと大きく三つのルートがあり、一日の供給量は計142万m3/日ある。
写真上左:区内すいどうみち緑道経路図 
写真上中:「西浦市場公園」南「ひょうたん橋」付近(区内大牧町・守山二)
写真上右:木曽川の犬山系導水路「第二取水口」
※出典 (Network2010)より 

 
 愛知県下の木曽川より取水経路図 ※出典:日本ダクタイル鉄管協会資料より

愛知県春日井市の「県営尾張広域緑道」にある埋設導水管実物見本。
奥が口径2,000㎜ 手前が1,000mm
場所:春日井市鷹来中学校西
2022年(令和4)より始まった耐震強化工事。緑道の地下かなり深い所に導水管が埋設されている。
(区内村合町付近)
 再開発以前の「すいどうみち緑道」
守山区志段味配水場
(区内桜坂5丁目)
区内「すいどうみち緑道」南端
前方矢田川を潜りそのまま600m程南進し鍋屋上野浄水場へ至る。(区内更屋敷付近)
「すいどうみち緑道」中程の改築された子供広場

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